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虫と話す

今宵の空は曇り
だけど雲の上では今まさに満ちようとしている月がわたしたちを照らしています。
そんなルナティックなエナジーに後押しされて
きのうまでの選挙フェスのパワフルな刺激に勇気づけられて
わたしがひと月ほど前に体験した
多くの人には言わなくてもイイかなと思ってた話を打ち明けます。

わたしの家は築40年以上がすぎているので多くの虫が出入りします。
今の季節ならアリ。
そういえばゴキブリはこの家では見たことがありません。

その日も昼過ぎに廊下をぞうきんがけしていると目の前をクモが横切りました。
クモは家の守り神
いつかのダレかのそんな話を真に受けていたわたしにもちろん殺す気はありません。
しかしクモの方はわたしを恐れてあっちへいったりこっちへいったりと
明らかに動揺しています。
わたしは思わずクモの行く先に手を差し伸べました。
「のりなよ」
クモは足を止めて動きません。怖いのでしょう
しばらく待ってみましたが手に乗ってくる気配はみじんもありません。
クモにとってはわたしの手の生暖かい感覚は異質に感じるのだな
そう直感したわたしはその手にぞうきんをかぶせてもう一度言いました。
「のりなよ」
するとしばしの沈黙を経て意を決したように
クモがぞうきんごしのわたしの手の甲に乗ったのです。
少しうれしい気持ちが芽生えましたが平常心で玄関の外まで連れて行きました。
そして横庭のフキの大きな葉に手をかざして言いました。
「おりなよ」
しかしクモはおりようとしません。
それどころか逆に肩へ向かって前腕を少しずつ少しづつ上ってくるのです。

クモからの確かな愛着を感じたわたしの中で何かが溶けていきました。
少しずつ距離を縮めてくるそいつをよく見ると
生まれてまだそう経っていないのか透明に近いピュアな白いボディ
中央に寄ったいくつもの目と恥ずかしそうに動く口元の角
かわいいなと自然に思えました。
そう思うままにいいよいいよとクモの進出を許しました。
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前腕から上腕、そして肩へと上ってくるかわいいクモ
首の横筋を上る8本の脚の探るような感覚にもまったく嫌悪はありませんでした。
「あっ」
しかしクモが側頭部の一番敏感な部分、耳に達するとわたしは思わず声を上げました。
そこはまずいんじゃないか
何かわたしの動物的な危機感がそう知らせてきます。
目には見えませんが確実にクモの脚はわたしの耳の穴を探っています。
「そこはまずいって」
わたしはちょっとだけ焦ってクモに言い聞かせながら鏡台の前にゆきました。
するとはっきり見たのです。
耳の穴の前を少しだけ覆うゆるくカーブした壁の向こうから
半分顔をのぞかせてクモが明らかにこっちを見ているのを。
鏡越しにわたしとクモはしっかり目と目が合ったのです。
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その姿を見た瞬間、わたしの中でさらに何かが溶けていきました。
いいよいいよ
その瞬間のわたしはもはや耳の穴を受け渡す気でさえいました。
いいよいいよ
いいじゃない、今日からクモを飼って生きてたって
確かにそう思えたのです。

しかしクモは穴の奥へとは入りませんでした。大きさ的に適しなかったのでしょうか
しばらくの間、穴の入り口の踊り場に足を止めていました。
わたしは鏡台から離れ、もう見なくてもそこにそれがいるのを感じました。
今日からクモを飼っている
8本の脚がかすかに肌の表面をくすぐる感覚は
わたしの表面感覚をいつになく鋭敏にしました。
しばしすると落ち着いたのかクモは持ち場を離れて額へ頭へと足を伸ばしました。
場所によっては感覚も曖昧になりましたが
時に折れてはどこかをまるでくすぐるかのように走るクモの存在を感じました。
今日からわたしはクモを飼っているんだ
なにやら少しそんな自負心さえ芽生えてきたのを覚えています。
日が暮れるまで結構な長い時間クモとの共存は続きました。
その間の研ぎすまされた体表感覚は少しだけわたしを増長させました。
わたしはクモを飼う特別な人間だ
きっとそんな驕りもあったにちがいありません。
クモも少しずつ居心地が悪くなったかもしれません。
間もなく連れ合いが帰宅して晩ご飯や何やら関わり合う日常を過ごすうちに
気がついてみるとからだの表面のどこを探してもクモの存在は消えていたのです。

それでもほんの短い間クモを飼っていた
クモと心を通わせていたという実感はわたしの中に残っています。
あれからわたしは虫との距離を確実に縮めています。

こう考えることはできませんか?
虫たちにとっては今こそ大戦争のまっただ中です。
何の未練も抱かずむしろ当然と言わんばかりの無意識で殺してくる大きな敵
それはわたしたち人間。
虫は意識を持たないと言う人がいます。
とんでもない、虫だって草木だってちゃんと意識してそこに居るのです。
虫はわたしたちと同じくらいに臆病で心優しい存在です。
きっとどこかの宇宙では虫が巨大でわたしたちを苦しめていた時代もあったのでしょう
お互いの秘められた記憶がお互いを敵対させる
そんなことはもう終わりにしよう。
わたしは虫との話し合いをあきらめない。
これはわたしの中のほんの小さなパラダイムシフト
自分の視野でできることからどんどんピースフルな変化を起こして行こう
もう世界は変わったのだから。

マツリゴトだけじゃない
暮らしの中の小さな意識から
異なる存在との調和を
楽しんで
わたしを自由に。
世界をもっと自由にね
ヤー!
by medine | 2013-07-22 23:17

日々いろいろなものごとがわたしのくすりになっています。      http://medine.me


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